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はじめに

 16世紀、日本の漆で塗られた漆工品が初めて欧州に渡りました。来日した宣教師が帰国時の土産として欧州に持ち帰った祭式につかう道具に漆が塗られていました。その漆は日本でいつ頃から使われていたと思いますか。はるか昔、今から約1万年前の縄文時代(紀元前145世紀〜紀元前10世紀)にまで遡ります。

 キリスト教を広めるために、16世紀半ばに宣教師が欧州から日本にやってきました。宣教師は、初めて見る漆の深い黒に感動し、帰国するときに漆工品を持ち帰りました。このとき初めて日本の漆器が欧州の人々の目にふれたのでした。その頃、欧州には漆のように深く黒い塗料はまだありませんでしたので、人々は日本製の漆器の美しさにとても驚き、そのニュースは広く伝わりました。評判を聞きつけた欧州の王侯貴族をはじめとする富裕層がこぞって収集するきっかけにもなりました。
 日本製の漆芸品の人気を表すこととして、後にジャパニングという技法が生まれました。ジャパニングには漆は使われず、欧州で入手できる材料を漆の代わりに使い、日本の蒔絵の装飾を真似て欧州の生活様式になじむ品々、主に家具を中心に作られました。現代にもその技法が受け継がれています。

 漆はメイプルシロップと同じように、樹液、ウルシノキからとれる樹液から作られます。その樹液は漆液といわれ、加工されて塗料や接着剤として使われます。今も漆は塗料や接着剤として使われており、科学的に多くの事実が明らかにされています。
 漆は完全に乾くと非常に固い膜になり、水や酸、アルカリ、アルコール、油、熱湯などにも強く、一部の細菌に対して抗菌性があり、1万年近く土中にあっても変質しません。これほど強固な塗膜を漆以外にみつけるのは難しいかもしれません。

 この本は、漆について知っていただくために、ウルシノキ、漆液の採取、漆液の性質など、漆という植物や塗装/接着材料そのものにも焦点をあてて書かれています。この本を手がかりに、植物や材料としての漆にも関心を向けていただければとてもうれしいです。

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